恐い話し 第五弾 その(1)
原因不明の癌の話
ほんの一部で、世界的に好評な恐い話シリーズです。
もう五年ほど前のことだが、妻の弟が若くして死んだ。
享年四十八歳の働き盛りだった。
死因は十二指腸癌(がん)で、三年間闘病生活を送り、二度の大手術の甲斐も無く、旅立ったのだ。
これは事件である。
世間ではただの病死でも、少なくとも、我が家にとっては大事件なのだ。
それから数年の間に、妻の比較的身内に近い親戚が、バタバタと亡くなって、私は「おやっ。」と思った。
妻はその悲報に接するたびに、ひどく悲しんで、その若さを惜しんだ。
「私の身内ばかり、何でこんなに続くの。」
いまどき五十歳前は、いかにも若い。
いずれも癌による病死で、そのときは「家系に癌の系統でもあるのか。」と思ったが、それにしては、正直今までのデーターとは合わない。
たとえば妻の両親は長生きで、父は八十歳、
母は百歳近く生きて、その祖父も八十歳くらいまで長生きしていると聞いている。
ありがたいことに、妻の兄弟も上の方は健在で、とても癌の家系とは思えない。
それが妻の、弟、いとこ、いとこ、甥っ子と、立て続けである。
共通点は、みな戦後生まれという事実だが、その線で行くと、私の愛妻も危ない。
いずれにしても、人口もそう多くない(妻の実家の町全域で、千五百戸、四千五百人あまり)漁師町にしては、数字としては多すぎる。
傍から私が見ても、妻の血縁の若手に、この変事が集中しすぎている感が、大いにあった。
下の その(2)に続く
小説を書いています。
ペンネームは、未来狂冗談(みらくる じょうだん)と申します。
詳しくは下記HPを、御参照ください。
「ODNの間」